探偵物語

日曜日の午後5時過ぎ、子どもたちを連れて少し早めの夕食を近くの
洋食屋さんでとった。人気のお店で、6時近くになるとほぼ満席の状態に
なり、6時過ぎには店員さんたちは忙しそうに店内で動いていた。

そこの洋食屋さんへ行ったのは店の近くにいつも利用している古本屋さん
があり、3番目の息子が<なにか本を買いたいから本屋さんへ連れて行って>
と言ったからである。驚いた。
勉強はろくにせず部活や空手を生活の中心においていた彼の口から出た
言葉に。

今頃に村上春樹氏の『ノルウェイの森』を読んでいる僕は、そんな小説
初心者の中学生の彼がハードルを感じることなく活字に親しめるようにと、
村上作品の中から『村上朝日堂』を渡したが、<こんな短いのじゃなく、
ひとつの小説がほしい>と言って軽く拒否したので更に驚いた。

すこし嬉しい驚きであった。次に<パン屋襲撃>を渡す。またも不満そう
である。僕は少しはやすぎるかなと思いなおし。古本屋さんでいいかと
訊いた。<うん。いい。>と彼は答えた。

彼は古本屋さんで本選びに悩んでいる。<どれがいい?>と訊くので
<どんなのが読みたい?>と応えた。<警察とか探偵もの><ふむふむ>
最近の小説は全く知らないので、僕が中学生のころ読んでいた本を思い
だす。<大藪春彦や森村誠一は早すぎるかぁ>。結局、赤川次郎の中から
『探偵物語』を選び渡した。

少し中身を確認して<これで良い>と無表情に答えた。<これで?いい?>
<これで>の<で>にすこし引っかかりを感じながらそれを買った。

後で、高校生の息子にお勧めの作家を訊いたら、<山田悠介。>と答えた。
・・・知らない。

親として、子どもの<本を読みたい>という言葉を耳にすることは嬉しい
ことだと思った。

昨日は、木漏れ日の下でコーヒーを飲みながら読書をするような、気持ち
のいい休日だった。

2 thoughts on “探偵物語

  1. 息子さんと本屋っていいですね。村上春樹は僕も大ファンです。中学の娘に「海辺のカフカ」をすすめましたが、1/4程で挫折してます。短編は大丈夫みたいですが。笑 彼女も学校の図書館から村上春樹を借りてきてお互いの感想を言い合ったり楽しいです。私の息子はまだ小学校1年生なので小説はもう少しかかりますね。
    いきなりお邪魔して失礼しました。実はJIDAのブロック長よりご紹介受け、ブログをのぞかせていただきました。当方のHPにも是非お立ち寄りください。http://www.padesign.jp/ 機会があればいつかお会いしましょう。

  2. 村上春樹の短編は非常に読みやすく出来ていて、私の息子にも大丈夫だと思ったのですが趣味が合わないようです。なので感想を言い合ったり出来るATさんが羨ましいです(笑)
    コメントありがとうございます。HPも拝見させて頂きました。完成度の高い素晴らしい作品の数々にビックリです。
    今後お会いする機会もあるかと思います。その時は色々話しをお聞かせ下さい。

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