鏡に映ったペンダント照明を見ながら、深い林の中にどっしりと佇む老樹を
思い出す。どこで見た風景かは思い出せない。林の中だったのか、草むら
から林を覗いたのか。
くつろぐ老樹、静寂の陽だまり、やさしく流れる風。コンクリートのなかの
その安らぎは白木によるものなのか、和紙によるものなのか、それとも
白熱灯によるものなのか。
ハードであるはずの鏡は、その存在を消すことも無く空気と同化し優しさを
包み込んでいる。ペンダント照明でこだわったかんすの形が和の心へゆっく
りとそして深く誘うのかもしれない。
しっかりと、じっくりと、正直にモノをつくる。誰がではなく一人一人の
その気持ちが繋がる。
多くの人の手で角をとる。あたりをつける。少しずつ。ときにはおおきな
高まりを求めて。
無能であるが故にあらゆる可能性を求め、形にしてこたえる術がすべてである。