一つ一つの作品に手を抜くことなくライティングされています。
その光の角度、強弱、そして影。作品そのものを包み込む間までもが
美しい。
その美しさの秘密はひとつの作品を照らす3つの光。
作品を中心として3方に流れる影が横たわる床を見れば分かります。
右上方からの主(メイン)照明、少し下げて左上方からの副(サブ)照明、
そして後方から作品を包み込むような後(バック)照明。
そのような目的を持った光だけで構成されたこの空間にはいささかも
無駄な光がありません。ある作品を照らした影、そして洩れた光でさえ
次なる作品へと導く道標となっているかのよう。
もちろん美術作品が光によって命を与えられるに相応しい空気、邪魔な
要素を一切排除した空間、すなわちミュージアムという場があってこその
その美しい存在感なんだと思う。
入場の列に並びセキュリティーチェックを受けチケットを購入し、職員や
警備員の目を気にしながらという無意識のうちに高まる緊張感が更に、美術
作品を観るという貴重な体験を特別なものにしてる。・・とも。
美術年鑑や図録では決して伝わらない。<百聞は一見に如かず>がごとく。
美しいモノを美しく見せるのに光はとても重要な要素なのだけれども、
美しいモノを取り囲む全てにも光が届くわけで実はその光のほうが重要
だったりする。ということは写真では分からない。
ニューヨークのメトロポリタン美術館を撮影してきました。
基本的にフラッシュを使わなければ撮影OKに親しみと寛大さを感じます。